生産者インタビュー③│【利島】その歴史は300年、日本トップクラスの生産量を誇る“椿の島”
※本コラムの内容は、令和6年3月現在のものです。
日頃、アンテナショップ東京愛らんどに商品を卸してくださっている生産者の皆様に取材を行いました。普段私たちがなかなか知ることのできない生産者の苦労や努力が垣間見れるコラムとなっています。ぜひ島で暮らす生産者の息遣いを、特産品を通じて感じてみてください。
■JA利島
アンテナショップ東京愛らんどで絶賛販売中の利島椿油「神代椿 (金)(銀)(雫)」。日本トップクラスの椿の生産量を誇る利島ですが、人口は約300名、面積の80%が椿で占められ、周囲は約8キロメートルの小さな島で椿油がつくられていることをご存じでしょうか。
利島の椿油産業は江戸時代からはじまり、お米が育てられない代わりに椿油を年貢として納めていました。今回取材協力していただいたJA利島の職員でもあり利島村農業委員会 会長の加藤さんをはじめとするJA利島さんが、主産業として長年にわたり利島を支えてきた椿油産業を今後も守り続けようと、熱意を持って日々ご尽力されている様子をこの取材を通してお伺いしました。
~今回特別に、椿油製油所を見学させていただきました!~
工場に入ると、農家さんが持ってきてくれたおよそ200~400キロ分の椿の種子が入った袋がずらっと並べられていました。
ちょうど10~4月までが収穫時期なので、工場は繁忙期のラストスパートをかけている様子でした。(取材時:3月)この種子1粒、なんと3割くらいが油成分なんだそうです。
熟した椿の種子だけを、手でひとつずつ丁寧に拾っていく生産者たちの根気強い作業が、利島の恵みたっぷりの椿油を支えています。
~椿油ができるまで~
①前処理
最初の工程は悪くなった種子や落ち葉、小石などを取り除き、熟した種子だけを選別できる機械を用いて前処理を行います。生産者が工場に持ち込む前に選別する手間を、機械が担うことで、良質な種子だけを搾油できる体制を整えています。
②乾燥
前処理した椿の実を工場の中で8時間乾燥させます。
③搾油
次は搾油という工程で、機械で実を絞ります。上質な油が多く含まれる一番搾り製法にこだわっています。この作業が一番時間かかり、1日800キログラムくらいの実を絞ることができます。
④精製
次は精製という工程です。椿油の精製プロセスでは、遠心分離機が重要な役割を果たしています。遠心分離を行うことによって原油に混ざっている不純物をある程度取り除くことができます。この工程により、高品質の椿油が生産されています。
⑤ろ過
精製してきれいになった油を、機械に通してろ過することでさらに綺麗な油にします。
⑥充填(じゅうてん)
最後の工程です。ろ過してきれいになった椿油を一斗缶(約18リットル)に入れて完成です。
利島の豊かな恵みを余すことなく椿油に込めてお届けするために、最後の工程までこだわり続けます。
それでは実際に、加藤さんにお話をお伺いしてみたいと思います。
-利島で椿生産業をはじめたきっかけについて教えてください
加藤さん:島に来て10年目になるのですが、子どもが小学1年生になるタイミングで 移住してきました。前職では20歳のときサービス業に携わっていましたが、29歳の時に農業に180度転身してキャリアアップを希望していたところ、椿油が日本一の島で働けるという求人を見つけ、エントリーしたのがきっかけとなりました。
スタッフ:その後10年経ち、現在では利島村農業委員会の会長を務められているとのことですが、具体的にどのような取り組みをされているのでしょうか?
加藤さん:農業委員というのは常勤ではありませんが、利島村の農業に携わる5名の人たちが選抜され所属しています。任期は3年間で、私は1期目なのですが、農業振興のためになにができるか、農地を流動的にさせて担い手を増やせないか、オーガニック椿油の製造などにおける農薬の変更など日々検討しております。農業委員は役場の職員でもあります。
-製油所自体はいつからあるのですか?
加藤さん:製油所は昭和54年生まれで今年47年目になります。かなりの年月が経過しておりますので、より生産者に還元できるような施設にするため、近い将来に建て替えを予定しております。
-農業委員就任以来、加藤さんが新たに始めた取り組みはございますでしょうか?
加藤さん:より多くの島民の方に椿農業をはじめていただくためには、どのようにアプローチすべきかを考えています。その中で、農業委員として主要な取り組みとなっているのが、農地の流動化の推進です。現在全国的に耕作放棄地が増加していますが、その対策として生産性の高い場所、つまり平坦地や道路近くの広い面積の土地を発掘し、データ化することで貸し出しやすい仕組み作りに力を注いでいます。
スタッフ:貸し出しやすい仕組みづくりをはじめたことで、実際に椿油の生産量の増加には繋がりましたでしょうか?
加藤さん:実はむしろ下がっている状態でして…歯止めがかけられていないです。
それに抗っているところを抵抗しているのですが、下方に押し潰されている状況です。
スタッフ:そうなんですか!?その下がっちゃう理由って一体…
加藤さん:まずは担い手がいないというのが第一ですね。
担い手不足の理由としては、主に2点あります。
1つは、農業のみでは生計を立てていくことが難しい、ということです。
もう1つは、椿油の収穫量が安定しないということです。椿の種子が豊作と凶作を不規則に繰り返すため、農家の所得にも波があり、来年がどうなるかわからない不安定な状況にあることで、なかなか意欲的に取り組もうとする方がいらっしゃらないということです。
このような状況が、およそ30年前から指摘されてきましたが、徐々に生産量が減少傾向にあります。
10年ほど前から生産量は減少しており、以前は1シーズンで1,600缶もの椿を採れていたところ、現在は200缶程度にまで減少しているのが実情です。
スタッフ:例えば、観光客が種子を拾って工場にお持ちしてもいいのでしょうか?
※椿の実拾いにつきましては、公共の場所のみとさせていただき、私有地には決して入らないようお願いいたします。
加藤さん:農家さんが工場に持ち込みいただくのが基本にはなりますが、Iターンの島民の方が増えていることから、椿油を使用していただけるように、1キロお持ちいただいた方には神代椿1本と交換する企画を行っております。今年はその企画で最大30キロの種子をお持ちいただいた島民の方がいらっしゃいました。たまにそれで観光客の方で参加される方もいますが、1キロなのでなかなか時間がかかりますよね。換金ができるのは農業組合員の方のみです。
スタッフ:島外に向けて椿油を発信するというよりは、まずは島内で椿油産業を盛り上げていくことが今もっとも優先すべきことであり、注力している点ということがよくわかりました。
加藤さん:そうですね。Iターンで島に来られる方は、農業で働くよりも役場などで正規雇用される方が多いので、そういった方々が農業に関わる機会を設けられるよう、企画づくりを行っております。 その甲斐あって、役場で働いている方や、弊組職員、船の発着の代理店で働いている方も椿畑を借りています。上は40代、下が20代の方と合計で9名程増えています。
-「神代椿」の魅力を教えてください
加藤さん:椿油は、何か頭髪や肌に課題がある場合などにオールインワンの「神代椿」をご活用いただくことができます。ターゲット層は40歳以上の方々で、年齢が上がるほど顧客層が広がっているようです。全体的にはご高齢のお客様が多くなっているのですが、どんな世代の肌にもすっと馴染む製品になっています。
ご高齢の方々のご用途としては、髪の毛への使用が多いようです。髪の毛を適切に保湿することで毛髪にしなやかさとツヤを与えます。年齢を重ねると髪が細くなってしまいますので、毛根で作られる髪のために、頭皮に優しい椿オイルが相性がよいとのことです。2019年「COSMOS ORGANIC」には椿油として国内初取得しました。
お好みで選べる3つのタイプをご用意しています。完熟藪椿(やぶつばき)の一番搾り種子油をろ過しトロッとした質感の「金」。それに脱色脱臭の精製を加えサラッとした質感の「銀」。COSMOS ORGANIC認証取得の限定品「雫」。質感や精製過程の異なる3つのタイプからお選びいただけます。
このコラムで紹介された商品は、アンテナショップ東京愛らんどで販売中です。
お立ち寄りの際はぜひお試しください。
▽▼ECサイトでの購入先はこちら▼▽
【楽天市場】神代椿−金:東京愛らんどショップ (rakuten.co.jp)
【楽天市場】神代椿−銀:東京愛らんどショップ (rakuten.co.jp)
【楽天市場】神代椿−雫:東京愛らんどショップ (rakuten.co.jp)
<店舗情報>
電話番号:03-5472-6559
店舗住所:〒105-0022 東京都港区海岸1-12-2竹芝客船ターミナル内
営業時間:平日10:00 〜 18:00、土日祝 10:00 〜 20:00
※時期により営業時間が変わりますので、お知らせをご確認ください
その他 :各種カード / 電子マネー決済 対応可、電子しまぽ使用可能、無料Wi-Fiあり
注意事項:カフェの営業は終了しております。当店専用の駐車場はありません。
<JA利島 SNS情報>
◆X(旧:Twitter):https://twitter.com/ja_toshima
◆Instagram:https://www.instagram.com/ja_toshima/
◆Facebook:https://www.facebook.com/JATOSHIMA/
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